第一種動物取扱業の登録:ペットシッターは「保管」

飼い主の家に出向いて世話をするペットシッターも、第一種動物取扱業の「保管」として登録が必要です。訪問型ならではの決まりもあります。

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訪問先では、顧客と接するすべての職員が、登録番号などを記載した識別章を着けることとされています。

このページの要点

  • 動物の保管を業として行う者は、事業所の所在地の都道府県知事(政令指定都市では市長)の登録を受ける(動物愛護管理法10条1項)。対象は哺乳類・鳥類・爬虫類。
  • 訪問するスタッフの氏名は登録の記載事項で、そのスタッフは実務経験・学校・試験のいずれかの要件を満たす必要がある(同法施行規則2条4項4号・3条1項6号)。
  • 事業所に標識を掲げ、訪問先では顧客と接するすべての職員が識別章を着ける(同法18条、同規則7条)。広告にも登録の内容を載せる。
  • 登録は5年ごとに更新が必要(同法13条1項)。変更の届出は変更の日から30日以内(同法14条2項)。

ペットシッターも「第一種動物取扱業」の登録が必要

動物の販売、保管、貸出し、訓練、展示などを業として行う人は、事業所の所在地を管轄する都道府県知事(政令指定都市では市長)の登録を受けなければなりません(動物の愛護及び管理に関する法律10条1項)。この登録を受けた事業者を「第一種動物取扱業者」といいます。対象となる動物は、哺乳類・鳥類・爬虫類です。

ペットシッターは、飼い主の家に出向いて犬や猫の世話をする仕事ですが、飼い主から動物を預かって世話をすることは、登録の種別のうち「保管」に当たると整理されています。ペットホテルのように自分の施設で預かる場合はもちろん、飼い主の家で世話をする訪問型でも、報酬を受けて繰り返し行うなら、登録を前提に準備します。

第一種動物取扱業の種別と、ペットに関わる仕事の例
種別主な仕事の例
保管ペットシッター、ペットホテル、動物を預かるトリミングサロン
販売ペットショップ、ブリーダー(取次ぎ・代理を含む)
訓練預かって行う犬のしつけ教室、出張訓練
貸出し撮影などのための動物の貸出し
展示動物カフェ、ふれあいイベント

一人の事業者が複数の仕事をする場合は、種別ごとに登録の内容に含めます。たとえば、ペットシッターと出張のしつけを両方行うなら、「保管」と「訓練」の両方が必要になるかを、事業所の所在地の自治体に確認します。

登録が必要かどうかの確認

報酬を受けて、他人の犬・猫などを世話しますか?業として行うなら、保管の登録の対象になり得ます。無償で知人の動物を預かるだけなら、通常は「業」に当たりません。
一度きりではなく、繰り返し受けるつもりですか?繰り返し受けるなら、登録を受けてから始めます。登録の前に営業すると、無登録営業になります。
扱う動物は哺乳類・鳥類・爬虫類ですか?犬・猫・うさぎ・小鳥・カメなどは対象です。魚や昆虫だけを扱う場合は、この登録の対象外です。
事業所(自宅を含む)を、どの自治体に置きますか?登録の申請先は、事業所の所在地の都道府県知事(政令指定都市では市長)です。

登録を受けずに第一種動物取扱業を営むと、100万円以下の罰金の対象になります(同法46条1号)。登録は、事業を始める前に済ませておく手続です。

登録の申請に書く事項と、そろえる書類

登録の申請書には、次の事項を書きます(同法10条2項)。申請書の様式や添付書類は自治体ごとに定められているので、事業所の所在地の動物愛護センターなどの窓口の案内を確認します。

登録の申請事項
申請事項ペットシッターの場合の考え方
氏名又は名称・住所(法人は代表者の氏名)個人で始める場合は、戸籍上の氏名と住所
事業所の名称と所在地訪問型でも、予約の受付や書類の保管をする場所(自宅など)を事業所とする
事業所ごとの動物取扱責任者の氏名一人で始める場合は、自分が動物取扱責任者を兼ねるのが一般的
業の種別と、業務の内容・実施の方法保管。訪問による世話か、預かりか、送迎の有無など
主として取り扱う動物の種類と数犬・猫など、受け付ける動物の種類
飼養施設を設置する場合は、その所在地・構造・規模・管理の方法訪問型だけなら飼養施設を設けない形もある。自宅で預かるなら、ケージや部屋が飼養施設になる

申請を受けた都道府県知事は、申請者が欠格事由に当たる場合や、業務の内容や飼養施設が基準に合わない場合は、登録を拒否します(同法12条1項)。欠格事由には、登録を取り消されてから5年を経過しない人、動物愛護管理法などに違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない人などが含まれます。申請の前に、事業所の確認(現地の調査)が行われる自治体もあります。

ペットシッターの登録から開業までの流れ(例)

  1. 動物取扱責任者の要件の確認自分が要件を満たすか(資格・実務経験など)を確認する。満たさなければ、要件を満たす人を選任する
  2. 自治体への事前相談事業所の所在地の窓口に、訪問型か預かりか、飼養施設の有無を伝えて、必要な書類を確認する
  3. 申請書の提出申請書と添付書類を出し、手数料を納める。施設の確認が行われることがある
  4. 登録の通知登録されると、登録証が交付される(同法施行規則2条5項)
  5. 標識・識別章の準備事業所の標識と、訪問する人が着ける識別章を用意する
  6. 開業利用規約・申込書・同意書をそろえて、受付を始める

訪問するスタッフも、登録の内容に含まれる

訪問型のペットシッターで見落とされやすいのが、訪問するスタッフの扱いです。施行規則は、登録の申請書の記載事項として、事業所以外の場所で顧客に重要事項を説明し、又は動物を取り扱う職員の氏名を定めています(同法施行規則2条4項4号)。さらに登録の基準として、そうした職員は、半年以上の実務経験、所定の学校の卒業、又は団体の客観的な試験による知識と技術の証明のいずれかに当たる人であることが求められます(同規則3条1項6号)。事業所ごとに、1名以上の常勤の職員が、その事業所に専属の動物取扱責任者として配置されていることも基準の一つです(同項4号)。

スタッフを増やす事業者は、新しいスタッフの要件の確認と、登録事項の変更の届出(変更の日から30日以内。同法14条2項)を、採用や契約の手順の中に組み込んでおきます。業務委託のシッターをこの「職員」として扱うかどうかは自治体の運用で分かれることがあるので、スタッフとの業務委託契約書を整える前に確認しておきます。

標識と、訪問するときの識別章

第一種動物取扱業者は、事業所ごとに、公衆の見やすい場所に、氏名又は名称、登録番号などを記載した標識を掲げなければなりません(同法18条)。標識には、氏名(法人は名称)、事業所の名称と所在地、登録の種別、登録番号、登録の年月日と有効期間の末日、動物取扱責任者の氏名を記載します(同法施行規則7条)。標識を掲げない者は、10万円以下の過料の対象になります(同法50条)。

ペットシッターのように、事業所以外の場所で営業する場合は、標識の掲示に加えて、標識の記載事項のうち動物取扱責任者の氏名を除く事項(氏名又は名称、事業所の名称と所在地、登録の種別、登録番号、登録の年月日と有効期間の末日)を記載した識別章を、顧客と接するすべての職員が、胸部など顧客から見やすい位置に着けることとされています(同法施行規則7条ただし書)。飼い主の家を訪問するときに、誰がどの登録で来たのかが分かるようにするためです。スタッフを抱える事業者は、識別章の着用を、スタッフとの契約や手引きにも書いておきます。

登録した後に守る基準

登録を受けた事業者は、動物の健康と安全を保持し、生活環境の保全上の支障を防止するため、環境省令で定める基準を守らなければなりません(同法21条1項)。基準は、飼養施設の管理、従業者の員数、飼養の環境、動物の疾病などへの対応、輸送の方法などについて定められています(同条2項)。都道府県や指定都市は、条例で、国の基準に代えて独自の基準を定めていることもあります(同条4項)。

基準を守っていないと認められると、都道府県知事は改善を勧告し、従わなければ公表し、命令をすることができます(同法23条)。業務の状況について報告を求められたり、事業所に立入検査を受けたりすることもあります(同法24条)。利用規約や同意書は、この基準を守るための約束を、飼い主と事業者の間で具体的にしておく書類でもあります。たとえば、預かる動物の健康状態の確認、ワクチンの接種の確認、体調が悪くなったときの対応は、基準に沿った運用を契約の言葉にしたものです(同意書・カルテの作り方)。

ご相談の場面から:登録についてのご相談

副業で、週末だけ近所の猫の世話を受けたいと考えています。登録は必要ですか?

報酬を受けて繰り返し受けるなら、週末だけでも業として行うことになり、登録の対象になり得ます。登録の前に始めると無登録営業になるので、まず事業所の所在地の窓口に相談し、動物取扱責任者の要件を満たしているかを確認します(動物取扱責任者の要件)。

訪問型のペットシッターだけで、自宅では預かりません。飼養施設の欄はどう書けばよいですか?

飼養施設を設けない形として申請する方法があります。ただし、急な事情で自宅で一時的に預かることを想定しているなら、その時点で飼養施設を設けることになり、事前の届出が必要になります。最初から預かりも行うかどうかを決めてから申請するのが確実です。

「保管」には21条の5の帳簿の義務はない。それでも記録の条を置く

動物愛護管理法には、動物の帳簿を備えて保存する義務の定めがあります(同法21条の5第1項)。ただし、この義務を負うのは、動物の販売・貸出し・展示と、政令で定める取扱い(譲受飼養)を業として営む事業者です。保管だけを営むペットシッター・ペットホテルには、この帳簿(同法21条の5第1項、同法施行令2条)の義務はありません。販売の際に動物の現在の状態を直接見せ、対面で情報を提供する義務(同法21条の4)も、販売業者の義務です。

ただし、管理の基準(基準省令)は別に台帳を求めています。第一種動物取扱業者が取り扱う動物について、1日1回以上巡回して動物の数と状態を確認し、その実施状況を記録した台帳を5年間保管すること(同省令2条7号ム)、飼養施設を持つ場合は清掃・消毒・保守点検の実施状況を記録した台帳を5年間保管すること(同条1号イ(3))です。訪問型でこれらをどう運用するかは、所管の窓口に確認しておきます。そのうえで、21条の5の帳簿がないことは、記録が要らないことを意味しません。事故や苦情が起きたとき、記録は事業者の側の唯一の証拠になります。事務所が手がけた規約では「記録の作成及び保存」の条を置き、次の事項を記録することにしました。

規約の「記録の作成及び保存」の条で記録する事項(例)
  • 動物種類・品種・生年月日・性別・特徴
  • 提供の内容提供した日時と、実施した世話の内容
  • 健康の観察食べ方・排せつ・様子など、観察した結果
  • 緊急時の対応異常に気づいた時刻、連絡の経過、受診の内容
  • 鍵受領・持出し・返却の日時と担当者
  • 訪問の要請飼い主から事前打合せのための訪問を要請された日時・方法・内容

最後の「訪問の要請」は、飼い主の家での契約が特定商取引法の訪問販売の適用除外に当たることを示すための記録です。保存期間は、最後の提供日から一定の年数(鍵の記録は返却日から一定の年数)とし、プライバシーポリシーの保存期間と同じ年数にそろえます。

保管業にもかかる二つの努力義務

帳簿の義務とは逆に、保管業にもかかる定めがあります。一つは感染性の疾病の予防です。第一種動物取扱業者は、取り扱う動物の健康状態を日常的に確認し、必要に応じて獣医師の診療を受けさせるなど、感染性の疾病の予防のために必要な措置を適切に実施するよう努めなければなりません(同法21条の2)。規約で予防接種や検査を申込みの条件にし、感染症のおそれがあるときに受けない場合を定めるのは、この努力義務を飼い主との約束として具体化したものと説明できます(予防接種と感染症の条件)。

もう一つは、業を続けられなくなった場合の措置です。第一種動物取扱業者は、業を廃止する場合など、業として動物を取り扱うことが困難になった場合には、動物の譲渡しその他の適切な措置を講ずるよう努めなければなりません(同法21条の3)。一人で営むペットシッターにとっては、自分が急病で動けなくなったときに、預かっている鍵と世話の予定をどうするかが現実の問題です。代わりの担い手(代行者)への引継ぎの条と、引き継げないときに飼い主へ直ちに知らせて鍵を返す手順を、規約に書いておきます。

識別章と、業務委託のスタッフの名札

訪問先では、顧客と接するすべての職員が識別章を着けることとされています。ところが、業務委託のスタッフに「会社の名札を着けて訪問してください」と求めると、労働者性の判断の場面では、身なりを指定していると見られかねません。事務所が手がけた業務委託契約では、名札その他の表示物は「お客様が承諾した者であることを示すため」に無償で貸与するもの、と目的と費用を書き、服装や髪型は指定しないことを明記しました。法令上の識別章の要請と、スタッフの独立性の両立をどう図るかは、スタッフがどちらの登録に係る事業として業務を行うかで答えが変わり得るので、所管の窓口に確認しておきます。

よくあるご質問

ペットシッターに第一種動物取扱業の登録は必要ですか?

報酬を受けて他人の動物を繰り返し世話することは、第一種動物取扱業の「保管」に当たると整理されています。訪問型でも、事業を始める前に、事業所の所在地の都道府県知事(政令指定都市では市長)の登録を受けます(動物愛護管理法10条1項)。

登録をしないで営業するとどうなりますか?

登録を受けないで第一種動物取扱業を営むと、100万円以下の罰金の対象になります(同法46条1号)。

登録に有効期間はありますか?

あります。登録は5年ごとに更新を受けなければ、期間の経過によって効力を失います(同法13条1項)。

訪問先でも標識を見せる必要がありますか?

事業所以外の場所で営業する場合は、標識の記載事項のうち動物取扱責任者の氏名を除く事項(氏名・事業所・種別・登録番号・登録の年月日と有効期間の末日)を記載した識別章を、顧客と接するすべての職員が見やすい位置に着けることとされています(同法施行規則7条ただし書)。

ペットシッターとペットホテルでは、登録の種別は違いますか?

どちらも「保管」です。ペットホテルのように自分の施設で預かる場合は、飼養施設の構造・規模・管理の方法も申請事項になり、施設の基準に適合している必要があります。

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